作画担当の長期療養、掲載誌の休刊…2つの大きな苦難を乗り越え、10年振りに連載が再開した
どうも、いなかです。
この記事では、「冒険王ビィト」の13巻のレビューをしていきます。
このビィトですが、もともとは今は亡き月刊少年ジャンプにて連載していた人気作だったのですが、2006年に作画担当の稲田浩司さんが体調不良による長期療養のために連載が中断。そして月刊ジャンプ自体が2007年に休刊、と一時は連載再開の目は完全に断たれたかのように思われていました。
ところが、今年の春からジャンプSQ.CROWNという季刊誌にて、奇跡の連載再開。先日、10年振りに単行本の続編が発売となったのです。
もはや存在自体が尊い…13巻はそういう巻なんです。
ドラマティックな背景を抜きにしても、単純に13巻が一番面白い
「もはや存在自体が尊い」とか言っておいてアレなんですが、なんで1~12巻のレビューをしないでいきなり13巻のレビューなのか。いきなり13巻を買うのか。そんなわけない、というのはわかっています。ではなぜいきなり13巻のレビューをするのかと言えば、13巻が一番面白いからですよ。
もともとビィトがなぜ人気なのかというと、「ダイの大冒険」という傑作を生んだコンビの新作だからというのが大きいです。少なくとも、入口としてはそれが一番大きいのではないかと。
で、ビィトとダイを比べるとどうなんだというと、まだダイの方が面白いんですよ。少なくとも今のところは。
ただ、12巻から13巻にかけて、ものすごくビィトは面白くなるんですよ(ちょうど面白くなってきたところでの休載だったんですよね)
そんで思ったんですよ。ダイも最初の最初はそこまでの面白さはなかったなと。デルムリン島でハドラーとドンパチやってるところはまだそこまでではない、「普通に面白い」くらいで、クロコダイン戦で一度は逃げたポップが帰ってきたあたりから「めちゃめちゃ面白い」になったなって。
11巻でかつてないほど強大な敵が登場するんですが、仲間の一人(心が若干弱い)が恐怖に我を忘れて逃げ出してしまいます。ただ、そいつもちゃんと12巻で帰ってくるんですよ。恐怖を乗り越えて。
これだけ読むと、「なんだ、やってることは同じじゃないか」と思うかもしれません。ただ、王道は人々に感動を与え続けてきたから王道なんですよ。十分読むに値すると思う面白さでした。
勝負物は敵味方の両方に感情移入しているときが最も面白い
11巻で登場するバロンとの戦いが13巻まで続くのですが、このバロンも面白さの加速に一役買っています。何と言ってもいいやつなんですよ。少年漫画でありがちと言えばその通りなんですけど、単純に強敵との戦いを求めているようなタイプで、性格的にも嫌味なところがない感じです。
そのうえで、作中ではかつてないほどの強さがあるわけです。かっこいいですよねえ。
ビィトは「ヴァンデル」と呼ばれる魔族のような存在との戦いの漫画ですが、他のヴァンデルが概ねクズなので余計にかっこよさが際立ちます。
そうなってくると、「主人公チームがんばれがんばれ、でもバロンもがんばれがんばれ」という気持ちになってきます。こういう状態で気持ちが高ぶらないわけがない。つまらないわけがないんです。
そして決着は13巻で着きます。とても美しく。
このまま面白くなっていったら、ダイと同じか、それ以上に面白くなっちまうんじゃないのか…そう思わせてくれる内容でした。残念ながら次章の始まりまではまた少し時間がかかるようですが、いつまでも待ちたいと思います。