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作品の存在意義がやっと明らかに
どうも、いなかです。
この記事では、作者・大月悠祐子のヤングアニマルDensi「ど根性ガエルの娘」17話のネタバレありレビューをします。15話のどんでん返しについて、16話と17話でかなりの部分が明らかになったので、16話の内容も多いですが。
ネタバレ無しの記事はこちら。
未読の方は、まずこちらから読むことをおすすめします。
考察記事はこちら
16話で、作品の方向性にとても悩んだことが明かされる
16話で、『ど根性ガエルの娘』の企画段階で、方向性については迷いがあったことが明かされています。
一つは、父のことだけをフィーチャーした形式。
もう一つは、父だけではなく、家族のことをすべてを扱ったもの。
夫の後押しもあり、最終的に作者が選んだのは後者の方でした。
前の記事でも触れましたが、作品の方向性については企画段階で今のような形式にすることが決まっていた、ということですね。
週刊アスキー編集の陰謀論については否定された形になります。
作品を通して、父に自分の気持ちを伝えるのが、作品の重要な目的の一つだった
15話以前でも多少仄めかされていますが、16話では小中高の学生時代を通して、学校でもかなりひどいいじめがあったことが明らかになっています。
作者の学生時代は「優子」の名の通り、とても優しさに溢れた子で、その反面、他の子に怒ったり、言い返したりするのが苦手だった、と作中では描かれています。
そして、相手が抵抗してこないことがわかると、心ないいじめっ子どもは、よってたかって攻撃してくる、という構図だったようです。
家でも、両親から「あんたは弱すぎるから、社会に出てやっていけるわけがない」と繰り返し言われていたのも、そういう性格を形成してしまった一因だと、作者自身は思っているようです。
まあ、両親からそんなことを言われて、いい影響があるわけないですよね。もっともだとわたくしも思います。
だから、作者は40歳を過ぎて、ど根性ガエルの娘を描こうという時まで、他人にあまり自分の意見をいうことがほとんどなかったんですよ。特に、反対意見の類については。
旦那さんは数少ない例外だったようですが、両親、特に父親はそうではなかった。
思ったことがあっても、内に秘めてしまっていたんですね。そして、これからもなかなか言うことはできないだろうという予感も作者にはあった。
まあ、あのお父さんですからね。学生時代なら迂闊に言いたいことを言ったら、何をされるかわからない。最近の、比較的落ち着いた状態でも、ロクなことにならないのは目に見えていますから。
だったら、言いたいことを作品内に描いて、それを読んでもらえばいい。
『ど根性ガエルの娘』とは、父に向けた壮大なメッセージだったんですよ。エッセイ、エンターテインメントとしての側面ももちろん持ち合わせているとしても。
最も作品を読んでほしかった父は、脳卒中で入院してしまう
15話の終盤、父親が入院していて、かなり重篤な容体であることが示唆されていましたが、17話で脳卒中であることが明らかになりました。(その時点では)左半身がマヒしていることも。
原因は日頃の不摂生。
平日は毎日麻雀、その後に深夜まで飲み歩き、休日は休日で、地方に講演やサイン会で遠征、というハードワークだったようです。
多分ですが、地方行ったら行ったで遊んでいたんでしょうね…。
17話は、病院で母から「このことも漫画に描きなさい」と言われた主人公が「ハハッ 当然!きっとお父さんもそう言う!」と、泣き笑いの表情で、しかし力強く答える場面で終わっています。
だから、その後、父親がどこまで回復したのかについてはわかりません。
現実のニュースになっていないかと、ネットでも少し探してみましたが、そのような記事は見つかりませんでした。
ただ、この件で作者はいい意味で開き直れたのではないか、と思っています。
父親が倒れたのは、時期的にはもちろん、15話よりも数か月前のことになります。それを受けて、15話があのキレで世に出たのではないか。そんな風に思わずにはいられません。
17話であれほど父に向けた直接的な表現ができたのも、そうです。少なくとも、今現在は漫画が読めるような状態ではないのではないか。だから、逆にああいう描き方が出来たのではないか、と。
エッセイといいつつ、その辺完全に現在も進行形ですので、作品の今後がどうなるかはまったくわからない感じになってきましたねえ。最終的にはどういった形で着地するのか。
とりあえず、父親が回復して、作者の漫画が読める日が来ることを願ってやみません。