子供と大人の頭脳戦が更に加速する第2巻
どうも、いなかです。
この記事では、原作・白井カイウ、作画・出水ぽすかのジャンプコミックス「約束のネバーランド」2巻について紹介・感想をまとめていきます。
2巻ということで、ネタバレありです。
1巻を未読の方は、こちらからどうぞ
さて、1巻ではエマ、ノーマンが「孤児院」の正体が農園であることに気が付き、レイを巻き込み脱出計画を練り始める、というところまででした。
イザベラは秘密を知られたことは知っています。彼らへのけん制として、新たにシスター・クローネを呼び、管理体制を盤石にしようとします。一方で子供たちも、脱出の際に重大な障害になる発信機が自分たちの体に埋め込まれていること、そしてそれが埋め込まれている場所を知ります。
発信機にはどう対処するのか?秘密を知った子供を調べる狙うシスター・クローネの目は欺けるのか?イザベラは次の一手をどうするのか?そのあたりが見どころになってきます。
シスター・クローネがとにかく怖い
全員で逃げ出すために、エマは子供たちの体力強化に努めます。エマたち3人で全員を抱えて逃げるわけにもいきませんからね。かと言って、あまりあからさまなこともできません。だからエマは、遊びながら鍛えることを考えます。
体だけでなく、頭も使ったハイレベルな鬼ごっこ。遊びのフリをした訓練で、イザベラの目をごまかしながらみんなを鍛えていきます。
それに目をつけたのがシスター・クローネ。子供たちが森の中で何をやっているのか知るため、「みんなと仲良くなりたいの」と言い、シスター・クローネも参加してきます。
このシーンに限った話でもないんですけど、このシスター・クローネの表現関係がめちゃくちゃ怖いんですよ。黒人関係の人権団体から苦情が来るんじゃないかと心配するレベル。
エマは鬼ごっこでは結局捕まってしまうんですが、(小さい子を二人小脇に抱えていたため)捕まるシーンとか夢に出てきてもおかしくないですね…。シスター・クローネ関係の演出はこんなんばっかりです。これ以降も怖めの描写がたびたび出てきます。
ただ、ノーマンとレイは最後までシスター・クローネから逃げ切ります。そして背後を取ることもできるという確証を得ることで「シスターを殺すことは不可能ではない」ということを知ります。
子供が殺しを覚悟し、検証するという嫌な場面なんですが、それが一層物語の緊張を高めるのに一役買っているんですよね。同時に、この鬼ごっこの場面に意味を持たせる大事な場面でもあります。
2巻は内通者の存在が重大なテーマ
言い出したのはノーマン。イザベラの、シスター・クローネの使い方からこの事実に思い至ってしまうのがすごい。
他の年長組のドンとギルダも仲間に引き入れるのですが、(これで年長組は全員秘密を知ったことになります)そうしつつも彼らが疑い続けるのをやめないんですね。このあたりもまた、必死さの表れながらも悲しくなります。
読者にとっても幸いなんですが、内通者の正体はノーマンの機転によって割とすぐに明らかになります。まあレイなんですけど。彼は自分が脱出するために、何年にも渡って内通者をやってきました。信用と情報を得るために。しかしその一方、エマとノーマンに秘密を知らせる動きをしたり、イザベラへの情報をコントロールして、行動をある程度操ったりもしていたことがわかります。いわゆる2重スパイです。
2巻の総括としては、ノーマンの葛藤がとにかく美味しい
2巻はかなりの部分が内通者関連で締められています。そのあたりの展開そのものももちろん見どころなんですが、個人的に特にいいと感じたのはノーマンのがんばりと葛藤ですね。
今までの記事の内容でもうすうすわかると思いますが、脱出計画を主導しているのはノーマンです。エマもレイもアイディアは出しますが、メインはノーマン。エマはもともと直観派で計画を立てたりはあまりうまくないタイプ。レイは2重スパイの役割の関係からか、これまであまり表立った行動は起こしていません。
恐らく、ノーマンが何が何でも救いたいのはエマ一人でしょう。けれど、そのエマは全員を救いたがっている。だからノーマンも全員を救うための計画を立てています。ところが、レイが出した2重スパイの条件はまったく逆でした。脱出するのは年長組のみで、後は置いていくことが力を貸す条件だと言います。
ノーマン自身、そちらが合理的な選択なのもわかっています。ろくに歩けないような子を連れて行っても、脱出の確率は間違いなく下がりますからね。しかも、そんな小さな子が何人もいます。
けれど、ノーマンの中にはそんな打算抜きに「救いたい」と思う気持ちも間違いなくあるのです。エマへの憧れと共に。
救えるものなら救いたい!!
しかし、そのために計画が失敗したら、全員が死ぬというリスクも彼はわかっています。天才児ですからね。それでも、エマをだますフリをしながらレイをだませないか、ずっと模索しているんですよ。天才児が好きな子のために不利を承知の行動を取るって、すごく胸熱展開じゃないですか。
いざ「その時」が来たら、彼はどういう行動を取るのでしょうか。そのあたりは本誌でもまだ明らかになっていないんですけど。