4回転アクセルに挑むスケート漫画。氷上のクラウンをレビュー

作者・タヤマ碧 氷上のクラウン1巻より
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ノー天気主人公と、コンプレックスヒロインのコンボがおいしいスケート漫画

どうも、いなかです。

この記事では、作者・タヤマ碧のアフタヌーンコミックス「氷上のクラウン」について、未読の方向けのレビューをまとめます。ネタバレは無し(最低限のあらすじ程度)としています。記事執筆時点では2巻まで発売中です。

氷上のクラウンは、主人公の麻生優馬(中3)とヒロインの遠野いぶき(高1)を中心としたフィギュアスケート漫画です。種目はそれぞれ、男子シングルと女子シングル。二人とも、当面の目標は日本選手権です。

内面は好対照の二人

二人とも才能は非常にあるんですが、特に優馬の方は天才ですね。作中では、世界最年少の4回転ジャンパー。ジャンプが大好き!ジャンプさえ跳べてればハッピー、っていう感じなんですが、そのノリで4回転トゥループまで跳べてしまいますから。スピンやステップが得意ではなく、練習もしたがらないという欠点はあるものの、十分すぎるほどの天才だと思います。

ヒロインのいぶきは、母親も有名フィギュア選手というサラブレッドで、自身も女子日本ジュニアチャンピオンと実績も十分。ただ、母親が武器にしていたトリプルアクセルが習得できず、そのせいで自分のジャンプに自信を持てずにいます。小3で5種のトリプルジャンプをマスターするほどの才能がある上に努力家なのですが…すぐ近くに優馬というジャンプの天才がいるのも大きいんでしょうね。年下の優馬のジャンプを神妙な面持ちで見つめているシーンもところどころにあります。

日本選手権では、二人とも目標を持って挑みます。今年シニアデビューのいぶきは、シニア1年目からの上位入賞、世界選手権の出場権を得ること(今年は2枠だそうです)。

優馬の方は更にスケールが大きく、なんと4回転アクセルへの挑戦

たぶんサルコウも安定していない(練習もあまりしていない?)のですが、いきなりのアクセル挑戦という…。一見無謀な挑戦なんですが、読んでいるとそこらへんも天才っぽく感じてしまうんですよね。

読者が感情移入できるのはいぶきの方?

作品のファンの中にはもちろん優馬ファンもおられると思うんですが、感情移入できるという意味ではいぶきの方だと思うんですよね。あくまで2巻までの話なんですけど。

作者・タヤマ碧 氷上のクラウン1巻より

優馬はメンタル面も強くて、試合前に緊張とかほとんどしないで、むしろわくわくして仕方がないというようなタイプ。なんかもう、放っておいても大丈夫だろーという気持ちになってしまうんですよね。もし失敗したとしても、次の成功のための伏線だな、くらいにしか思えないんですよ。

一方のいぶきなんですが、試合前は普通に緊張するし、スランプに陥ったこともあるし、精神的にはかなり追い詰められていることが多いんですよね。どんな試合でも負けられないと思ってしまっている。母親の偉大な功績に負けないように、という気持ちが強すぎるんだと思うんですが、それがひどく危ういんです。

そうすると、読者としては危なっかしい方に目線が行ってしまいますよね。

あと、私の好みの話にもなってくるんですが、いぶきのような自分の才能に疑問やコンプレックスを持ちながら、それでも頑張るキャラクターが大好きなんですよ。いぶきの場合は十分才能はあるんですけど。ジャンプの技術的には3ルッツ+3トゥループが跳べれば女子は十分世界クラスで戦えますから。いぶきの演技の単純な技術点は現実の世界女王とほぼ変わらないはずです。

そんないぶきも、優馬の4回転アクセル挑戦というチャレンジに引っ張られて、次第に新しい目標が自分の中で芽生えていきます。

その「目標」がどうなるかは2巻まででは明らかになりませんが、どこかで、壁を越えて開き直ったいぶきが見たいですね。

フィギュア漫画作品として、どこまでやってくれるのか期待

フィギュアには、現在は男子の羽生、過去にも女子に荒川、浅田、安藤というトップ選手がいるにも関わらず、漫画にはなかなかならないんですよね。なっても非常に短命というか。演技を漫画で表現するのが難しいのでしょうが。音楽漫画には名作も多いので、なんとかならないかなーと思うんですよ。

アニメは最近、例のYOIが一世を風靡しましたので、漫画もここらで柱になるような作品が出てきてほしいと個人的には思います。本作品は癖のない面白さでだれにでもおすすめできますし、そうなる可能性は十分秘めていると思うんですよね。

少なくとも人気不足で打ち切りとはなってほしくはない。そういう意味ではこのブログのコンセプトにはぴったりの作品です(笑)

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