シリアスなギャグ+シュール日常系+ラジオ!波よ聞いてくれ レビュー

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文芸小説的な展開の読めなさに、日常系4コマ漫画的な掛け合いを足した結果、よくわからない宇宙が誕生した(褒め言葉)

どうも、いなかです。

この記事では、作・沙村広明のアフタヌーンコミックス「波よ聞いてくれ」の紹介をします。

「よくわからない宇宙ってなんやねん」と見出しを読んだ方は思ったでしょうか…?いやホントに、いざ「波よ聞いてくれはこういう漫画ですよ」と説明しようとするとものすごく難しいんですよ。大筋のストーリーはあるんですけど、すぐあっち行ったりこっち行ったりして…。少年漫画やスポーツ漫画のような、一つの目標、着地点を目指して進むような話でないのは確かです。まあ、掲載誌がアフタヌーンですからね、あまり深く考えない方がいいんでしょうけど。

強いて一言でまとめるならば「主人公がひょんなことから北海道のローカルラジオに出てしまったことから始まる人間模様を描いたドラマもの」あたりになるんでしょうか。強調しておきたいのは、ラジオは重要なキーワードだし物語の軸なのは間違いないんですが、放送自体は対してやってないんですよ。

ただ、ラジオを通して知り合ったラジオ局の人たちが、お話の大事な要素なんですね。「人間模様を描いたドラマ」ですから、人間がいないと始まりません。

作・沙村広明 波よ聞いてくれ1巻より

上の画像は1話の2ページ目くらいなんですが、混沌というか、深淵というか、そういうものの片鱗を感じとっていただけたかと思います。飲んだくれてオッサンに絡んでいるのが主人公、絡まれているオッサンがラジオのチーフディレクター。この謎の絡みがきっかけで、ミナレ(主人公)はいつのまにかラジオに出演してしまいます。

ただこの作品の魅力の本質は、別にラジオがどうのこうのとかいう部分ではないんですよ。ミナレの、常に大喜利やってんじゃないのかっていうくらいに無駄に捻ったトークなんですよ。上の画像を見て、なんか芸人みたいな、ネタっぽいしゃべり方してるなー、まあ酔ってるシーンだからかなー、と思いました?常にこのノリです。

ラジオはお話を動かすためのガジェット。ミナレほどではないですが、他の登場人物たちも一癖ある上に心の中に闇抱えてそうなのが揃っています。そういう人たちの掛け合いを楽しむ漫画、それが「波よ聞いてくれ」です。

ラジオと並んで重要なキーワード「カレー」

なんでカレーが大事かというと、ミナレがカレー屋の店員だからです。北海道は札幌、パンとカレーの夢空間ボイジャーで働く店員さんなんですね。ただミナレはお世辞にも「夢空間」というキャラではない上に素行が悪い(主に遅刻)ので、店長(カレーの腕は立つオカマ)からはよくクビを宣告されています。今3巻まで出ていますが、やめるんだかやめないんだかわからない展開がずっと続いている状態、という引っ張り具合です。

作中のミナレの交友関係はかなり狭く、ほとんどがこのボイジャーの関係者か、ラジオ関係者です。

特にいい味を出しているのは、ボイジャーでミナレの後輩にあたる中原。

見た目はいかついチンピラ風なんですが、クソ真面目で努力家です。自分にないものを求めた結果なのかどうかは知りませんが、ミナレが大好きでガンガンアプローチを仕掛けます。クビ宣告などで落ち込んだり荒れたりしたミナレを慰めたりするのは彼の仕事、という苦労人キャラ。必然的にツッコミ側に回ってくれます。

1巻の中盤で、ボイジャーに新しい女性店員が入ってくるのですが、この女性店員も例によって訳有りです。んで、真面目な中原がそのあたりを放っておけなくて、気が付けばなんかいい雰囲気に…いつもはないがしろにしているミナレもちょっとイラっときて…という感じになるんですが、イラっとしているミナレが可愛いんですわコレが。あと女性店員自体が可愛いので(見た目は無限の住人の最強剣士の生まれ変わり)様々な観点から楽しめます。女性店員の抱えている心の闇も垣間見れますしね。

ラジオ局の関係者の心の闇が4巻以降の見どころか?

所持金が尽きてアパートを追い出されたミナレをしばらく泊めてくれた南波瑞穂ちゃん、売れっ子パーソナリティーの茅代まどか…ラジオ関係者がらみのエピソードがまだ少ないので、これから焦点あたってくるのはその辺かなーと。ミナレの元彼とかは出てきてるんですけどね。

まあとにかく、作品がどう転がっていくのかはまったく謎です。過去の作品と比べると、雰囲気的には「おひっこし」に近い、のかな?と思うんですが、あれと違って恋愛面は対してフィーチャーされてないので、また違う着地点になるのかなと。

ストーリーの雰囲気的には文芸小説に近いかな。記事冒頭で、「あらすじ説明するのが難しい」というくだりがありましたけど、文芸小説って結構そういう作品が多くて。ノルウェイの森のストーリー説明してって言っても難しいじゃないですか。その辺似てる気がするんですけど、そうすると明確な落ちというか、起承転結はないままお話が終わってしまうのではないかという危惧はありますね。この辺は個人の価値観だと思うんですけど、私は作品にはある程度明確なラストがあったほうが好みです。

長さとしては、5巻くらいでさくっと終わってしまう気もしますし、15~20巻くらい引っ張る気もするんですが、最後まで目が離せない作品になるのは間違いないですね。

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