箱庭からの脱出はできるか!?約束のネバーランド1巻レビュー!

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平穏の裏で行われる命がけの頭脳戦。子供たちは、迫ってくる死から逃げ切れるのか

どうも、いなかです。

この記事では、原作・白井カイウ、作画・出水ぽすかのジャンプコミックス「約束のネバーランド」1巻について紹介・感想をまとめていきます。

未読の方向けで、ネタバレは序盤のあらすじ程度です。

すでに何度か紹介している「鬼滅の刃」もそうなのですが、明らかに今までのジャンプのイメージとは毛色の違う作品です。雰囲気としては「海外のおとぎ話」+「ホラー」というところでしょうか。

今のところ、シリアスなんですがバトル要素は無し、完全な知能戦です。

最近のジャンプはそういう意欲作を積極的に取り込んでいる印象ですね。そういう作品の方が生き残っている気もしますし。

1巻から今後の展開を見据えた伏線を感じるので、そのあたりについても考察していきます。

タイムリミットはMAXで12歳の誕生日。楽園だと思っていたそこは、ただの農園だった…。

お話の舞台はグレイスフィールド孤児院。一見、どこかの外国の孤児院といった様子です。数十人の子供たちと、その面倒をみる園長の女性。冒頭の雰囲気はのどかそのもの。

原作・白井カイウ、作画・出水ぽすか 約束のネバーランド1巻より

子供たちもお互いに仲が良く、園長も優しくて、みんなで一つの大きな家族、そんな雰囲気。実際、子供たちもみんなそう思っています…この冒頭の部分では。

主要人物は上の画像で特に大きく描かれている4人です。主人公である11歳の女の子、エマ。同い年のノーマン、レイ。そしてママ。

施設にはほかに30人以上の子供がいます。

一話では孤児院の紹介に数ページが費やされますが、そこでいくつか奇妙な点があることがわかってきます。

  • 施設の外には出られない(子供たちは施設の外のことを知らない)
  • 12歳になるまでに確実に里親に預けられる
  • 里親の元に行った子供からは一切連絡がなくなる
  • 首に5桁の識別数字(マイナンバー)が刻印されている

子供たちはそれを特別おかしいとは思っていません。彼らにとっては、それが普通なのです。連絡がないのも、外がよほど楽しいんだろうな、程度の感覚なんですね。

物語が動き出すのは、ある夜、施設の少女が里親に送られるときからです。

少女が大切にしていたぬいぐるみを忘れているのに気付いたエマとノーマンは、出発する前にぬいぐるみを届けようと、施設の入り口に向かいます。でもそこで見たのは、何体かの化け物と、すでに殺された少女でした。

原作・白井カイウ、作画・出水ぽすか 約束のネバーランド1巻より

化け物連中のビジュアル面の破壊力も相まって、「ひぐらし」以上の超展開さを感じましたねえ…。

幸い、エマとノーマンは車の下に隠れることで、化け物=鬼に存在を気取られることなくやり過ごすことに成功します。そして、鬼たちの会話から、自分たちが彼らの食糧(それも超高級品)として育てられていることを知ります。あの優しいママも、鬼の手先でしかなかったのです。

ノーマンとエマは、施設からの脱出を決意します。このまま施設にいれば、遠くないうちに「出荷」されるのは間違いないから。生き延びるためには、ここから逃げるしかありません。

子供だけの脱出劇が始まります。

どこまで話が広がるのか、想像がつかないくらいのスケールを感じる

「脱出劇が始まる」と書いておいて何なんですが、物語の中にちらほらと「その先」を考えさせられる要素が挿入されていて、それが非常に物語のスケールを広げているんですよね。

仮に施設から無事に逃げられたとして、そこからどうやって生活していくのか。強大な鬼が跋扈しているような世界で、どうやって生きていけばいいのか。作中でエマたちもいろいろ悩みます。

伏線についての考察

地図

気になるのが、下の画像の地図です。

原作・白井カイウ、作画・出水ぽすか 約束のネバーランド1巻より

世界地図は一見、現代と同じなのですが、日本の部分が吹き出しで隠されています。この世界の日本は、もしかしたら消滅してしまっていたり、逆に巨大化してしまっているのかもしれませんね。単に、外国の雰囲気を出すために日本を隠したのかもしれませんが(地図もヨーロッパ中心の地図ですし)。何にしても、吹き出しの場所には意思を感じます。

あと、ロシアとアメリカ大陸の境界も見えないので、もしかしたら…というのは、さすがに考えすぎでしょうか。

イザベラ(ママ)の目的

イザベラの首筋にもマイナンバーがあることから、施設の子供と似たような境遇だったのは間違いないと思います。「上」からの評価ではイザベラは特別に優秀ということらしいですが、最終的な目的はなんなのか。そもそも、イザベラ自身はどうやって生き延びたのか

彼女は鬼の姿を誰かに見られたことには気づいています。作中で「生き残るのは自分」という発言もあり、見られた誰かを警戒し、けん制しますが、必死で探すようなそぶりは見せません。また、上層部への報告はせず、自分で処理する目論見です。(鬼の存在を知られたことを報告しないのは、明らかな違反)

作中では優秀さを讃えられることも多いイザベラなら、鬼に支配されているうちは、鬼はいつでも約束を反故にできることは理解しているはず。従順で優秀なら安泰というわけではないということは骨身にしみているでしょう。

鬼の姿を見たものを積極的に探さないところから、なんだかんだ、彼女なりに子供たちを守ろうとしていた、というのが定番の展開。ですが、個人的には野心家として強大な障害になってもらいですね。子供たちを泳がせておくのにも、自分がのし上がるための材料、というような。とにかく、イザベラを安易に死なせるような展開にはしてほしくないですねえ。

脱出劇そのものはせいぜい5~6巻くらいで終わる

原作・白井カイウ、作画・出水ぽすか 約束のネバーランド1巻より

 今、本誌でやっているのが3巻くらいに収録される部分でしょうか。脱獄編は早ければ4巻くらいには終わってしまうと思います。脱獄がどういう形で終わるのか、まだまったく読めない状況です。

このような隔月の刊行スケジュールが組まれること自体、編集部からの期待の表れと私は見ています。また、脱獄編以降の構想がしっかりと固まっているということではないでしょうか。

この意欲作から、今後も目が離せなくなりそうです。

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