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ホームズの宿敵・モリアーティを主人公にしたスピンオフ作品が、いいダークヒーローものとして仕上がっている
どうも、いなかです。
この記事では、構成・竹内良輔、漫画・三好輝のジャンプコミックスSQの、「憂国のモリアーティ」について、未読の方向けのレビューをまとめます。ネタバレは1話について少しだけ…としています。
執筆時点では、1巻が発売されたばかりの作品です。
若かりし日のモリアーティが主人公
この作品は、名探偵ホームズシリーズで、ホームズの宿敵として登場するモリアーティ教授が主人公のスピンオフ作品となっています。本編や、ワンちゃんのホームズが主人公のアニメ版でも、いい年のおじいちゃんとして描かれているモリアーティですが、本作では掛け値なしのイケメン、そして天才として描かれています。
2話の表紙のドヤ顔モリアーティです。イケメンですね…。多分ですが、黒執事とかの世界観に飛び込んでも活躍できるんじゃないかという超人っぷりです。
作中の舞台は19世紀末のイギリス。階級主義が根付いたこの国では、一部の貴族たちのために平民が奴隷のような扱いを受けるのが日常でした。モリアーティはそれをおかしいと思い、不当に民を不幸にする悪辣な貴族を独自に裁いていく…という義賊ものです。
一話完結のテンポの良さが魅力
作品としてのウリはテンポの良さでしょう。この手の中世が舞台で貴族が活躍するようなお話は、見た目は華やかでも、一歩間違えるとその雰囲気だけが売りの漫画になってしまいがちなのですが、この作品は一話完結のおかげでサクサク読めます。まあ、各話80ページ近くはあるんですが。
しかも、連載中は複数月でやっていたのを単行本化の際にまとめたのかと思っていましたが、記事を書くにあたって調べたら、毎月80ページ近く掲載しているんですね…。月刊連載にも関わらず単行本が3ヶ月に1冊ペースという。構成と漫画を分けているにしてもすごいですね。
週刊誌ように「毎回見せ場を」というような圧力が無い分、構成の自由度が増して、それがいい方向に作用しているという気がします。
1巻の見どころはまず第1話
1巻の冒頭では、いきなりホームズとの対決が示唆されます。
対決らしい部分は、1巻はこのページだけですけどね。そもそもホームズが登場しませんから。どこかのタイミングでホームズが登場、そして彼との対決にシフトしていくんでしょうけど。いや彼といいつつ、最近の流れだとホームズが実は女で…というパターンもわんちゃんありそうですが。わたくしはそれでも一向に構いませぬ。
1話は、まるごと使ったプロローグのような構成になっていて、基本的にはモリアーティの幼少期のお話になっています。
とある貴族の、ノブリス・オブ・ルージュという名の気まぐれで、養子として迎え入れられたものの、屋敷では下民扱いされる日々。
唯一の理解者である長男以外は、領主、その妻、次男、執事にメイドと清々しいほどのクズ揃いの屋敷なんですよね。雇い主の趣味が反映された結果なんでしょうか。
特に領主の妻と次男からは執拗な嫌がらせを受けます。最終的には冤罪をでっちあげ、屋敷から兄弟を追い出そうとしてきます。
迫ってくる「悪い人間」の悪意に、幼い兄弟はどう立ち向かうのか。
これ以上はさすがにネタバレが過ぎますので、続きは単行本でお願いいたします。
ライバルに肩入れしてしまうような人にはぜひおすすめの作品
基本的には法の影で悪を裁くような流れですので、まあ違法と言えば違法なんですよね。しかも将来的にはホームズという大正義が登場することも確定しているわけで、「正義とはなんなのか」というようなテーマも盛り込まれてきそうです。
1巻のペースで連載していれば、2巻の発売ももう間もなくのはず。その時にはまたレビューします!