生徒会モノの傑作になる予感!1518(イチゴーイチハチ)!レビュー

作・相田裕 イチゴーイチハチ!1巻より
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前作のシリアスな内容から一転、心温まる青春モノに

どうも、いなかです。

この記事では、作・相田裕のビッグコミックス「イチゴーイチハチ!」の1巻について、感想をまとめます。ネタバレについては、あらすじレベルで…という感じです。

前作のガンスリンガー・ガールはすごい傑作だったんですが、ストーリー的には「イタリアでいたいけのない少女が肉体強化手術受けてテロリストとドンパチする」という悲劇寄りの内容。今回はどんな話になるのかと思ったのですが、とてもハートフルな生徒会モノでした。登場人物基本皆いい人。ストーリーも心が温まるようなヤツです。作者としても、さすがにこれ以上女の子が不幸になるのは辛かったのでしょうか…?

いきなり「謎の野球回」から始まる

物語は、主人公の丸山幸が、松武高校に入学して、中学の先輩が生徒会長をやっている生徒会を手伝うところから始まります。

作・相田裕 イチゴーイチハチ!1巻より

序盤の構図だとちょっとわかりにくいのですが、会長は女子です。顔立ちもどちらかと言えばかわいいよりもイケメン風に描かれていますしね。

幸以外に主人公はもう一人います。松武は野球の強豪校なのですが、故障を抱えて思うように野球ができない烏谷公志朗もまた、教師から勧められて生徒会を手伝うことに。

作・相田裕 イチゴーイチハチ!1巻より

野球への未練がありありな烏谷に対して、会長はいきなり野球勝負を挑みます

作・相田裕 イチゴーイチハチ!1巻より

しかもガチなやつです。

ただ、お話が進んでいくにつれて、「謎の」野球回ではないこともわかってきます。会長も中学時代はシニアリーグで投手やってたんですね。それが、中三の時に当時中学一年だった烏谷にタイムリーヒットを打たれてコールド負けを打たれてコールド負けを喫した…という因縁があったのです。

しかも、たまたまその試合を応援に行っていた幸は、烏谷のファンになってしまったという。

作・相田裕 イチゴーイチハチ!1巻より

そんな三人が、たまたま同じ高校で揃った…というのが、この作品の本当のスタートです。野球ネタは大好きなので、この時点でかなり興奮しました。烏谷の肘の状態がよくなさそうなのは明らかだったので、悲しい予感はしていましたが…。

野球を失った烏谷公志朗が、新しい楽しみを見つけていく

野球対決からしばらくは、烏谷は故障した肘のリハビリを続けていますが、結局状態はよくならなかったようで、野球は断念せざるを得なくなります。いたいけな少女の次はいたいけな少年かよ…。

今まで野球しかやってこなくて、それしか楽しみを知らない少年が、野球を失った後に別の楽しみを見つけていく物語ですから、導入部分がそういう展開なのも仕方がないと言えば仕方がないのですが。でもやっぱりつらいですよねえ…。私なんか、毎年冬にやってる、「戦力外通告~クビを宣告された男たち~」とか見られないタイプですし。

「新しい楽しみを探す」方法として、具体的には生徒会を通じて探していくことになります。

幸も公志朗も正式に生徒会に加入することになり、校内行事など積極的に関わっていくことになります。また、行事以外にも生徒会への要望があれば、その都度こなしていくことも。

もともと公志朗のファンだった幸は、積極的に公志朗に関わろうとしてくれます。公志朗もそれを憎からず思っているようで…。幸が生徒会の先輩に冷やかされたときは「恋愛感情ではない」と断言していましたが、はたしてこれからどうなっていくのでしょうか。この辺はニヤニヤが止まらないところです。

公志朗がとてもいい子で、立ち直っていくのが本当に嬉しくなる

記事の2回に1回はこんな見出しをつけている気がしますが、本当に公志朗がいいやつなんですよ!

ピッチャー出身なんですが、お山の大将的なところもないですし、先輩のことは立てる。負けん気の強さ、プライドの高さはあっても、それが嫌味ではないんですよね。こう言ってはなんなんですが、リアルな野球部にありがちなDQNぽい雰囲気がないんです。

性格もまじめで、故障の原因も、頑張りすぎてしまっての勤続疲労という雰囲気でした。尚、勉強は苦手のようですが、地頭はよさそうな描写も多いです。

序盤こそ野球を諦めるかどうかの瀬戸際だったせいもあり、不貞腐れているような部分もありますが、生徒会に加入してからはある程度気持ちの切り替えもできたようです。本当に立ち直っていくのはまだこれからだと思いますが…。

作品を読み進めていくと、なんで神様(=相田裕)はこんないいやつから野球を取り上げてしまったのか、という気持ちになります。公志朗は体格にも恵まれていて、本当に将来有望だったんですよ。ああ、それなのに…。本当にひどいことをする神様です。

スポ根に対してのアンチテーゼがテーマなんでしょうかね?そこまで行かなくとも「それだけが青春でもないし、人生でもないよ」ということなんでしょうか。

とにかく、公志朗がくっそいいやつなので、幸が支えたくなる気持ちになるのもわかります。スポ根も好物なんですが、これはこれで本当においしいので堪りません。

もし未読でここまで読んでくれる方がいたら、せめて1巻だけは読んでいただきたいですね。

作者は巻単位で内容を考えているようで、この1巻もとてもきりがよく終わっています。というか、1巻の中でちゃんと起承転結があると言った方がいいでしょうか。(ちなみに2巻、3巻も同じようにきりがよく終わっています)

なので、とにかく1巻、という感じなんですよね。興味がある方はぜひ。

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